自分らしく…大学病院の力  14

緩和ケアをと、自分らしく…自分らしく!と

大学病院の主治医の先生に告げられた私達は

それから、主人と二人で経営していた会社をどうしよう⁉︎と

急いで、答えを出さなければいけない状況になっていました

 

65才位になったら、会社を閉めて

残りの人生!を楽しもうと、主人は計画を立てていました

息子二人も、各々の仕事を持ち成長していたので

心配は無い…と

 

 

1月の20日頃になると

主人は歩くのもゆっくりと、きつそうで

いよいよ…ホスピスの院長先生との診察が

始まっていました。

ここ数年ぶりの大雪にみまわれて

寒くて、寒くて…辛く苦しくなりそうでした。

その時、私はどんな顔をしていたのでしょうか?

会社は、社員さんで営業を続けてもらいながら

代表電話の転送は、私の携帯へと

なり続けて…

笑顔を主人に見せようと

涙を流す事も出来ませんでした

 

そんな私達の願いを聞いて下さる方が…

現在の姿、社名で…会社を継続して頂くことに

 

さらに、生活が辛くなって来た主人は

ホスピスの先生に「入院しましうか?奥さんに迷惑かけるから…」と尋ね

私は、すぐさまに

「先生、自宅で療養が出来ますか?、コロナ禍なので入院したら

会えなくなる」と、告げたら

院長先生は、「わかりました。自宅で過ごせるようにしましょう」…と

訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴…と

介護保険も利用しながら…

すぐに、使えるようにしてくださいました

 

結婚して、37年

大きなケンカもなく、ついこの間一緒になり

休みも一緒に、あちこちに出掛けて

ず〜〜っと、デートをしていたような主人との楽しい生活、人生でした。

 

こんなに、家に二人でゆっくりと過ごしたのは

初めての事でした。

こんなふうに、ゆっくりと、落ち着いた生活がしばらく続くのかな?と

思っていましたが

10日間程で

 

2月3日の朝方…静かに私の手を握って、私のそばで、私に顔をくっ付けて

主人は、苦しむことも無く

静かに息を引き取ってしまいました…

 

暖かかった大きな体が…どんどん冷たくなり

主人の、濃密で妥協を許さない、人に愛され、尊敬され、人には優しく…

時には愛情を持った厳しさの

63年の生涯でした。

 

日々、一日一日が過ぎ

今…私は会社の社長となり…昭和42年に義父母が起業した

会社を清算、閉鎖、事業譲渡へ…と

さまざまな…手続きに追われています!

 

いつのまにか…気づかない間に私の体重も減って

会う人、会う人に

「大丈夫ですか?」と心配されて

 

元気ですよ…と、答え

主人の遺影と仏壇に毎日向き合って

「貴方のおかげで、毎日忙しいよ!…」と

話す日々です…

(遺影の写真が3年前の息子の結婚式の時の写真…笑顔で

    笑っているので…見る度に、私はこんなに忙しいと段々腹が立って)

 

まだまだ…悲しみは癒えず

でも、眠れている、食事も取れている…

幼なじみや…一緒に暮らす長男

近くに住む二男夫婦に支えられて

少しずつ…元気になって来た私です!

 

いつになったら…この気持ちが癒されるのか?

庭の、クレマチスも咲き始めました!

寒い間…何処にいるのか?わからない状態ですが

この季節になると…ちゃ〜んと存在を…

 

私も…前を向いて

主人の笑顔を思い出しながら

皆さまに…支えてもらいながら

一日、一日を…

 

これで…「自分らしく 大学病院の力」を

終えたい!と思います。

 

そして…一緒泣いてくれた幼なじみ

遠くからもお詣りに来て頂いた方々

主人と出会い、暖かく接して頂いた全ての方に

感謝致します。合掌

(   2023年 春 誉れ )