自分らしく…大学病院の力  4

3月25日…退院の日

S総合病院に迎えに行った私は…病院の玄関口から入った所にある

広い待合室で、主人がエレベーターで降りて来るのを

今か?今か?と待ちわびていた

カートに荷物を積んで降りて来る主人は

ホッとしたような、笑顔を見せて

私を見つけると

「心配かけてごめんね」…と言い

私は、思わず…人目も憚らず

主人に抱きついてしまった

どんなにこの日が、待ち遠しかった事か

 

いつもの主人の大きな身体が…少しだけ痩せて見えた

でも、触れることで、私はどんなに安心出来たか

暖かい、大きな手を触ると

涙が出そうになったが、私はグッとこらえて

「お帰り、お疲れ様…」と、声をかけた

 

たったの八日間だったが、長い年月のように感じられた

コロナ禍でお見舞いも行けず

LINEのビデオ通話で、毎晩、

いや、私は事務所の机上でも話をした

 

入院室の様子や、窓から見える景色

その日の仕事の話等々

    (こぼれ種でコンクリートの隙間に咲いたきんぎょ草)

主人が入院中は、なかなか眠りにつけなかったのが

その夜は、久しぶりの我が家のベッドは気持ちが良かったのだろう

 

早い時間から、主人は寝息をたてて眠り始めた

幸せな時間だった

 

黄疸で、黄色みがかっっていた主人の顔と目は

日に日に、白くなり

元の主人に戻っていった…

 

しかし

それから‥17日後の4月12日に再び

入院する事に…